こんにちは。BooSTの畠山です。
今回は「介護予防・日常生活支援総合事とは?〜将来の日本のキーワード〜」についてお話しをさせていただきます。
参考文献
今回は「理学療法ジャーナル 2020年3月号 地域における予防の効果」を参考にさせていただきました。
筆者は一般社団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 副部長 服部 真治氏です。
リンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。
https://www.ihep.jp/researcher/shinji_hattori/
はじめに
皆さんは“介護予防・日常生活支援総合事”をお聞きしたことはありますか?
介護予防・日常生活支援総合事とは、市区町村が主体となって、高齢者の身体機能の回復をサポートするために理学療法士(Physical Therapist:PT)や作業療法士(Occupational Therapist:OT)を中心にサービスを提供する事業のことです。
https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/chiiki-shien/kaigo-yobou.html
聞き馴染みがない方も多数いらっしゃると思いますが、日本のキーワードとなる可能性があります。
今回は、PTやOTが地域でどのような活動をしているかにフォーカスを当てて解説したいと思います。
介護予防・日常支援総合事業の課題
厚生労働省は、2019年12月に「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」の取りまとめを公表しました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken_520284_00006.html
理学療法士に関連する内容としては介護予防・日常生活支援総合事業の短期集中予防サービスです。
2018年度の市区町村の“短期集中予防サービス”の実施率は43.8%となっており、医療機関との連携に課題があると指摘されました。
短期集中予防サービスとは、以下の事業を指します。詳細はリンクを参照してください。
○訪問型サービスC
https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/chiiki-shien/niji-yobou-haaku.html
○通所型サービスC
https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/chiiki-shien/houmon-kaigo-yobou.html
このような背景から、都道府県や市町村に対して、医師会と連携を強化して地域の実情に応じた地域リハビリテーションのサービスを提供するためにPTやOTを派遣できる体制を構築することを明記しています。
PTやOTがリハビリテーションを提供することで介護予防に効果的だと報告がされています。
しかし、介護予防・日常生活支援総合事業は2015年度から開始したサービスであるため、科学的根拠の立証は十分でないのが現状です。また、市区町村の取り組みが低調であることも阻害因子となっています。
介護予防・日常生活支援総合事業における課題と改善
介護予防・日常生活支援総合事業のサービスを図式化しました。
介護予防・日常生活支援総合事業に移行する前の方針は要支援・要介護状態になるリスクがある高齢者に対してアプローチすることが重視されていました。
高齢者の5%が参加することを目標に全国の市区町村で様々な取り組みが行われましたが、実際に参加した高齢者の割合は約0.7%だったと報告されています。
厚生労働省は費用対効果が低い事業と指摘されたため、大規模な方針の転換が求められました。
普及しなかった問題点を以下のように分析しています。
・回復した機能を維持するためにはトレーニングを継続しなければならないことが十分に理解できていなかった。
・“活動”と“参加”にフォーカスが当てられていなかった。
・通いの場を創出することが必ずしも十分でなかった。
・サービス終了後も機能を維持するためのフォローが不十分だった。
・心身機能を改善することを目的としたトレーニングに偏っていた。
このような課題を踏まえて以下の改善案が提案されました。
・介護予防は高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけを目指すものではないことを理解する。
・自己実現するためのサポートに重点をおいて生活の質(Quality Of Life:QOL)の向上を目指す。
・社会への参加を促進してフレイルの発症を予防する。
・“心身機能”・“活動”・“参加”にアプローチする。
・日常生活活動(Activities of Daily Living:ADL)の向上を図る。
つまり、国際生活機能分類(International Classification of Functioning , Disability and Health:ICF)による概念が介護予防の基本理念であると明記しており、取り組みがされています。
短期集中予防サービスとは?
介護予防・日常生活支援総合事業では“短期集中予防サービス”が提供されています。
介護保険の予防給付では、介護予防痛所リハビリテーションや、介護予防訪問リハビリテーションでもリハビリテーションの期間は限定されていません。
介護保険の予防給付の目的は要介護への進行を防止してADLを向上することであるため、関節可動域訓練やマッサージなどの徒手的な治療も対象となります。
しかし、短期集中予防サービスの特徴は、3ヶ月〜6ヶ月と期間が限定されている点が特徴です。
短期集中予防サービスの目的は生活行為の改善であるため、関節可動域訓練やマッサージなどの徒手的な治療は対象とはなりません。
PTやOTは利用者の評価やプログラムの作成などであるため、診療の補助に該当しない範囲であれば、医師の指示は不要です。
自分に最適なサービスを受けるために、お近くの地域包括支援センターに相談することがオススメです。
おわりに
今回は、介護予防・日常生活支援総合事業の短期集中予防サービスについて解説しました。
受動的な態度では健康を維持することができません。能動的な態度で健康を維持することが重要です。
BooSTは合同会社MYSと連携して訪問リハビリテーションを提供しています。
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