こんにちは。BooSTの畠山です。
今回は「生活習慣病がサルコペニアを併発する理由〜要介護への進行をブロックする方法〜」についてお話しをさせていただきます。
参考文献
今回は「イチからわかる!サルコペニア Q&A」を参考にさせていただきました。
筆者は筑波大学 山田 実氏です。
リンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。
https://www2.human.tsukuba.ac.jp/faculty_j/yamada-minoru
はじめに
日本人の死因のランキングをご存知でしょうか?
厚生労働省が令和4年 人口動態統計月報年計(概数)の概況で日本人の死因について報告しています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/gaikyouR4.pdf
赤文字は生活習慣病を表しています。
1位の悪性新生物は約38万人、2位の心疾患は約23万人、3位の老衰は約17万人、4位の脳血管疾患は約10万人が亡くなっています。
いずれの生活習慣病もフレイルを併発する危険性があり、有害健康転帰(adverse health outcomes)に大きな影響を及ぼします。
有害健康転帰とは、転倒、入院、要介護への移行、死亡など、健康に有害となるイベンが発生することを指します。
今回は運動器のプロフェッショナルである理学療法士がサルコペニアと生活習慣病の関連にフォーカスを当てて解説します。
サルコペニアと生活習慣病の関係
突然ですが“平均寿命”と“健康寿命”の違いはご存知でしょうか?
平均寿命は「0歳における平均余命」と定義されています。つまり、0歳から死亡するまでの平均な期間を算出したものを指します。
健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。
つまり、平均寿命 ― 健康寿命 = 介護が必要な期間となります。
厚生労働省のe-ヘルスネットを参考に2019年の値を表に整理しました。
両者の関連にフォーカスが当てられている理由は、有害健康転帰を誘発する危険性があり、社会保障費の高騰に多大な影響を及ぼすからです。
サルコペニアが一般的なワードとなった現在でも生活習慣病がどのようにサルコペニアの発症に関連しているかを明確に説明できる方は多くはありません。
発生機序をチャートに整理しました。
今回は以下に分類して解説していきます!
○二次性サルコペニア
慢性的な炎症が原因となるサルコペニア
○廃用性サルコペニア
ADLの制限による廃用が原因となるサルコペニア
○薬剤性サルコペニア
ステロイドが原因となるサルコペニア
それぞれ詳細に解説します。
二次性サルコペニア
生活習慣病は慢性的にサイトカインが分泌されるため、経時的に骨格筋も傷害されます。
悪性新生物、心疾患、糖尿病、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患などの生活習慣病を発症している方と、発症していない方を比較した場合、いずれの疾患でも共通事項として“筋力低下”と“骨格筋量減少”が生じやすい傾向があると報告されています。
生活習慣病によって“筋力低下”と“骨格筋量減少”の病理学的な発生機序には差異が認められますが、“炎症”がキーワードになることに疑いの余地はありません。
個人的な見解ですが、生活習慣病の特異性に沿った質が高い介入が要求され、高い改善率を維持できる病院や理学療法士が評価されるシステムが構築されると思います。
40代〜50代の方は自分の健康を見つめ直すタイミングとしては最適だと思います。
併せて読みたい記事
↓サルコペニアの原因は?〜慢性炎症が骨格筋を破壊する!?〜↓
廃用性サルコペニア
生活習慣病を発症すると日常生活活動(Activities of Daily Living:ADL)が制限されます。
廃用症候群を発症することで“筋力低下”と“骨格筋量減少”を惹起します。
しかし、廃用性サルコペニアは活動量の低下が主な原因となるため、サルコペニアには含まれないことが多い傾向にある点は注意が必要です。
薬剤性サルコペニア
生活習慣病は炎症を誘発するサイトカインの分泌が増大するため、慢性的に骨格筋が傷害されます。
そのため、炎症を抑制するために“ステロイド”が処方されます。
私は五島市で訪問リハビリテーションに携わっていますが、担当している方の大半はステロイドが処方されており、最もメジャーな薬剤の1つだと言えます。
一見、炎症を抑制する作用があるため、頻繁に使用したくなる薬剤ですが、 “筋萎縮”と“筋力低下”などの副反応が生じます。
副反応を検討した上で本末転倒な結果にならないようにステロイドを上手に活用する必要があります。
理学療法士が薬剤歴を確認する理由の1つです。
しかし、薬剤性サルコペニアはステロイドによる副反応が主な原因となるため、サルコペニアには含まれないことが多い傾向にある点は注意が必要です。
重症化を予防する方法
生活習慣病を発症しているだけでサルコペニアの進行に多大な影響を及ぼします。
では、このような不安を抱えた方はいらっしゃいませんか?
「基礎疾患があるから高強度の運動ができない」
「高強度の運動は継続して取り組む気にならない」
「サルコペニアの発症を予防したいけど具体的な運動がわからない」
BooSTでは、ウォーキングを推奨しています。メリットは以下の通りです。
・家族や友人とコミュニケーションの機械に繋がる
・継続的に実施しやすい
・抗重力筋を総合的に収縮させることができる
・低負荷で反復した筋収縮が得られる
・特別な道具が必要ない など…
併せて読みたい記事
↓猫背の原因は〇〇○筋が原因!?〜理学療法士が“歩行”にこだわる理由〜↓
私もウォーキングに取り組むことがありますが、体も心もスッキリするので、非常にオススメです!
おわりに
生活習慣病がサルコペニアを併発する原因は、炎症、廃用、薬剤が挙げられます。
日本人の死因の上位5位の中には悪性新生物、心疾患、脳血管疾患といった生活習慣病が関連しており、サルコペニアを併発する危険性を孕んでいます。
BooSTでは、サルコペニアや生活習慣病を予防するためにウォーキングを推奨しています。
長崎県では令和4年4月から「ながさき健康づくりアプリ」の運営がスタートしました。
五島市でも令和3年4月から「ぎばっと」の運営がスタートしております。
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BooSTは合同会社MYSと連携して訪問リハビリテーションを提供しています。
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