こんにちは。BooSTの畠山です。
今回は「病院で治療できる筋萎縮は?〜加齢性筋萎縮と廃用性筋萎縮の違い〜」についてお話しをさせていただきます。
参考文献
今回は「イチからわかる!サルコペニア Q&A」を参考にさせていただきました。
筆者は筑波大学 山田 実氏です。
リンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。
https://www2.human.tsukuba.ac.jp/faculty_j/yamada-minoru
はじめに
筋萎縮には加齢性筋萎縮と廃用性筋萎縮があります。
両者は病理学的変化に大きな違いがあります。
違いを理解して、適切な治療を提供できなければ、日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)に支障をきたし、要介護状態に陥るリスクが向上することは容易に想像ができます。
今回は運動器のプロフェッショナルである理学療法士がサルコペニアと死亡率との関連にフォーカスを当てて解説します。
加齢性筋萎縮と廃用性筋萎縮の違い
両者の違いをグラフにすると一目瞭然です。
○加齢性筋萎縮
筋線維の“横断面積”と“数”が減少するという病理的変化が生じます。
加齢性筋萎縮は改善までの期間が長く、改善の度合いも低いことが特徴です。
高齢者をイメージしてください。
適切なリハビリテーションを受けなければ筋力を維持することができません。
○廃用性筋萎縮
筋線維の“横断面積”の減少のみという病理学的変化が生じます。
廃用性筋萎縮は改善までの期間が短く、改善の度合いも高いことが特徴です。
ギプス固定をイメージしてください。
ギプスを除去した直後は顕著な筋萎縮が生じていますが、経時的に健側と差がない程度まで改善します。
○合併発症
臨床においては加齢性筋萎縮と廃用性筋萎縮が混在している場合が多く認められます。
人口股関節置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)をイメージしてください。
術前に加齢性筋萎縮を発症している高齢者は、術後の安静により廃用性筋萎縮も発症することになり、リハビリテーション開始時には両者が併存した病態を呈することになります。
医療機関でのリハビリテーションにより改善が期待できるのは廃用性筋萎縮です。
退院後は介護保険を上手く活用して継続してトレーニングしなければ、加齢性筋萎縮の改善は期待できずに病態は悪化の一途を辿ります。
おわりに
加齢性筋萎縮と廃用性筋萎縮は筋線維の“数”に病理学的変化が生じているかによって判断できます。
高齢者は両者を同時に発症している場合も多く認められます。
そのため、高齢者は加齢性筋萎縮の進行を予防できるかがポイントになります。
移動のADLが制限されると有害健康転帰(adverse health outcomes)に大きな影響を及ぼします。
有害健康転帰とは、転倒、入院、要介護への移行、死亡など、健康に有害となるイベンが発生することを指します。
そのような状態に陥らないためにも予防に力を入れましょう!
BooSTは合同会社MYSと連携して訪問リハビリテーションを提供しています。
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