【医療・介護講座】がんとサルコペニアの病態の違い理解してレベルアップ!〜骨格筋量が減少する理由〜

【医療・介護講座】がんとサルコペニアの病態の違い理解してレベルアップ!〜骨格筋量が減少する理由〜

こんにちは。BooSTの畠山です。

今回は「がんとサルコペニアの病態の違い理解してレベルアップ!〜骨格筋量が減少する理由〜

」についてお話しをさせていただきます。

参考文献

今回は「理学療法ジャーナル 2022年6月号 医療現場におけるサルコペニア・フレイル」を参考にさせていただきました。

筆者は名古屋大学医学部附属病院 理学療法士 田中伸弥氏です。

リンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。

https://researchmap.jp/tanashin.pt

はじめに

日本人の死因ランキングをご存知でしょうか?

看護師や理学療法士の国家試験では頻出されおり、医療従事者にとっては一般常識の問題です。

令和2年の日本人の死因の第1位に悪性新生物が位置しています。

生涯でがんを発症する可能性は男女ともに50%を超えているとされており、国民的な病気と言えます。

がんは細胞の遺伝子のエラーが蓄積して発症します。

加齢に伴い、細胞がサビつくため、遺伝子のエラーが生じやすくなります。

そのため、全がんの約70%が高齢者と言われています。

近年、サルコペニアの罹患率と有害健康転帰との関連性の高さから関心が高まっています。

今回は悪性新生物と運動器疾患のプロフェッショナルである理学療法士がサルコペニアとがんの有病率、病態、有害健康転帰(adverse health outcomes)への影響、治療にフォーカスを当てて解説します。

サルコペニアの疫学

近年、がんとサルコペニアの関連と臨床転帰を検討したmeta-analysisが数多く報告されています。

meta-analysisは、類似している複数の研究の結果を統合し、ある要因が特定の疾患と関連性があるか解析する方法です。

2010年にThe European Working Group for Sarcopenia in Older People(EWGSOP)によりサルコペニアの診断基準が提唱されました。

2014年にAsian Working Group for Sarcopenia(AWGS)によってアジア版のサルコペニアの診断基準が

提唱されました。

AWGSのサルコペニア判定基準では、握力に問題が認められない場合でも、歩行速度の低下が認められると、骨格筋量の計測に進む手順となっています。

サルコペニアの判定に最も重要だと言っても過言でない骨格筋量の測定は「全身の骨格筋量を算出する」という原則があります。

そのため、生体電気インピーダンス法(Bioelectrical Impedance Analysis:BIA)や二重エネルギーX線吸収法(Dual Energy X-ray Absorptiometry:DXA)により全身の骨格筋量を算出する必要があります。

しかし、普段の診療ではComputed Tomography(CT)を撮影する機会も多く、CT画像から解析した骨格筋量だけでサルコペニアを定義した研究が多いことも事実です。

しかし、CT画像から骨格筋量を鑑別するためのカットオフ値が統一されていないため、研究間の比較は注意が要です。

サルコペニアの平均有病率は約40〜50%だとされています。

手術前の方を対象にした報告が多いことは事実です。

しかし、化学療法、放射線療法、免疫チェックポイント阻害薬などの治療を受けた方を対象とした研究も報告されるようになってきています。

臨床に応用する場合は、対象疾患、定義、病期などに注意する必要はありますが、各施設で利用可能な資源を活用して早期予防、早期治療に繋げることが重要です。

AWGSは、骨格筋量の測定機器がない地域で、サルコペニアの評価が可能な指標として握力の測定を推奨しています。

男性では、28kg以下、女性では18kg以下がカットオフ値となります。

また、5回椅子立ち座りテストも推奨しています。

これは、12秒以下がカットオフ値となります。

アウトカムへの影響

サルコペニアがアウトカムに与える影響は様々ながんで検討されていますが、一貫して予後不良な結果となっています。

(Tanaka Shinya,医療現場におけるサルコペニア・フレイル,理学療法ジャーナルVol.56 No.6 P674より引用)

アウトカム(outcome)とは、医療機関で検査や治療を行い、その結果を評価して得られる状態の変化を指します。

手術前にサルコペニアを発症している場合、在院日数の延長、死亡する確率、術後合併症の発症に影響を及ぼします。

日常生活活動(Activities of Daily Living:ADL)の低下は、治療の選択肢を狭める可能性があるため、身体機能を維持する事は非常に重要です。

がんがサルコペニアを進行させる理由

がんは、炎症反応の促進、活動量の低下、食欲の低下など、サルコペニアを発症・進行する原因が多く認められます。

(Tanaka Shinya,医療現場におけるサルコペニア・フレイル,理学療法ジャーナルVol.56 No.6 P674より引用)

化学療法の副反応として、ミトコンドリアの機能が障害され、筋組織に直接的なダメージを与えます。

また、食欲不振、吐き気、疲労など、間接的なダメージも与えます。

悪質液は、異化が亢進することで、筋組織と脂肪組織が傷害され、体重が減少する病態です。

悪質液では、炎症が原因で骨格筋と脂肪が減少します。

両者では骨格筋が減少する病理的機序が異なります。

栄養障害は、両者で徴的な所見です。

そのため、医師や管理栄養士による食事療法が必要となります。

しかし、栄養療法だけでは骨格筋量が増加する効果は認められていません。

がんの治療〜運動療法〜

運動療法は、運動耐容能、筋力、生活の質(Quality Of Life:QOL)の改善に有効であることが多くのmeta-analysisによって報告されています。

運動療法は、resistance exerciseと有酸素運動を以下の条件で実施することで高い効果が得られます。

・実施時間:60分以上/回

・実施頻度:3回/week

○resistance exercise

筋肉に負荷をかけて、繰り返し行う運動を指します。

筋蛋白質の同化が促進されるので、骨格筋量の増加には非常に有効です。

○有酸素運動

長時間継続して行う運動を指します。

有酸素運動は蛋白質の同化を促進する作用は認められていません。

しかし、蛋白質の異化を防止する機序は証明されているため、サルコペニアの治療に有効である可能性があります。

運動療法は治療の効果にも良い影響を与える可能性が示唆されています。

また、倦怠感には、薬物療法と比較して運動療法の方が効果は高いとされています。

さらに、運動療法は終末期の方に対してもQOL、運動耐容能、倦怠感、身体機能を改善することが報告されています。

しかし、悪質液に対する運動療法の効果は未だに医学的根拠(Evidence Based Medicine:EBM)はなく、今後の研究に期待が寄せられます。

おわりに

名古屋大学医学部附属病院では、消化器の手術の予定がある方を対象に、術前のリハビリテーションをアプリケーションで管理できないか研究している段階だと発表しています。

最近はIT技術を応用して、健康を管理する時代になっています。

五島市は「ぎばっと」というウォーキングアプリを運営しています。

ウォーキングや健康診断などでポイントがゲットできる仕組みとなっており、貯まったポイントは電子クーポンとして発行され、五島市内の店舗等で使用できます。

健康も維持できて、クーポンもゲットできるなんて夢のような話ですね。

○五島市 健幸アプリ ぎばっと

是非、ご活用ください!

BooSTは合同会社MYSと連携して訪問リハビリテーションを提供しています。

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