こんにちは。
株式会社BooSTの畠山です。
前回の記事では、2025年4月1日と2025年10月1日に施行が予定される育児介護休業法等の解説を行いました。
▽育児・介護休業法について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
法改正の決定を知り、福祉用具貸与事業所でテレワークの導入はOKか?という疑問が浮かびました。
厚生労働省―老健局が公表している「介護サービス事業所・施設等における情報通信機器を活用した業務の実施に関する留意事項について」を参考にして、テレワークを実施・導入することは合法か、解説したいと思います!
福祉用具貸与事業所の人員基準
まず、福祉用具貸与事業所を運営するには人員基準が設定されています。
▽指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999404&dataType=0&pageNo=1
運営するためには、福祉用具専門相談員の常勤方法換算基準を満たさなければなりません。
従って、以下の計算式で算出した常勤換算数が2以上になる必要があります。
「従業者の勤務延時間数」÷「従業者の所定勤務労働時間」=常勤換算数
では、育児・介護の休業の申請があった場合、2名で運営する予定の当社はどのように対応するか問題となります。
福祉用具貸与事業所でテレワークってOKなの?
結論、一部の業務においては、テレワークを導入してもOKだと認められています。
その根拠となる条文を引用します。
▽厚生労働省―老健局「介護サービス事業所・施設等における情報通信機器を活用した業務の実施に関する留意事項について」
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2024/0401140404365/ksvol.1237.pdf
第1-(2)-③ 基準上の具体的な必要数を超えない部分について
「サービス類型ごとに、人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている職種の従業者数のうち、当該事業所等における基準上の必要数を上回らない部分については、利用者の処遇に支障が生じないと認められる範囲内であれば、テレワークを実施しても差し支えない。」
第3-(1)
「各職種の従業者がテレワークを行い、事業所等を不在とする場合であっても、サービスごとに運営基準上定められた各職種の責務・業務に加え、当該従業者が実務上担っている役割を果たす上で支障が生じないよう体制を整えておくこと。また、テレワーク実施者本人、管理者及びテレワーク実施者以外の他の従業者に過度な業務負担が生じ、利用者の処遇に支障が生じることのないよう、留意すること。なお、各職種の特性も踏まえ、事業所等に不在となる時間が一定以上生じることで、当該職種としての責務の遂行に支障が生じる場合には、個別の業務についてテレワークでの実施が可能と考えられる場合であっても、テレワークを実施してはならないこと。」
第3-(2)
「テレワークを行うことができる日数・時間数については、介護サービスの種類や介護事業所等の実態等に応じて、各事業者において個別に判断すること。ただし、終日単位で事業所等を不在にするテレワークの実施については、利用者の処遇に支障が生じないか、特に慎重に判断すること。」
第3-(3)
「勤務時間中、事業所等の現場に出勤する従業者とテレワーク実施者の間で適切に連絡が取れる体制を確保すること。」
第3-(4)
「テレワーク実施者の労働時間の管理等、適切な労務管理を行うこと。具体的には、第2(6)を参照すること。」
第3-(5)
「個別の業務のうち、書類作成等の事務作業、事業所外の専門職との連絡等の業務については、予めテレワークを行う日時を決めておけば、テレワークを実施しても、利用者の処遇に支障がないと考えられる。」
第3-(6)
「個別の業務のうち、利用者・入所者との面談・相談やアセスメント等のための観察等の業務については、相手方の表情や反応を直接確認する必要があり、自身と相手方の双方に相応な機械操作能力が求められることに加え、情報通信機器を通じた音声の聞き取りづらさ等、意思疎通の上で一定の制約がある。そのため、情報通信機器を用いた遠隔での面談等の実施については、意思疎通が十分に図れる利用者について、利用者本人及び家族の理解を得て行うなど、適切に対応すること。ただし、家族との面談については、家族側でも操作環境が構築でき、家族の同意がある場合には、テレワークで実施しても、利用者の処遇に支障がないと考えられる。」
第3-(7)-⑫ 福祉用具専門相談員
・福祉用具の選定や納品、提供後の使用状況の確認、使用方法の指導や修理等の業務については、利用者の身体状況や居住環境等を確認しながら適時適切に行われる必要があり、テレワークで実施することは想定されないことから、原則として、テレワークでの実施は認められない。
・書類作成等の事務作業については、テレワークで実施しても、利用者の処遇に支障がないと考えられる(第3(5)を参照)。
・ただし、テレワークを実施する場合は、利用者の安全を確保する観点から、福祉用具の提供に係る突発的な事態等に対応できる体制を事業所において整備しておく必要があることに留意すること。
当社の運営方針
以上の根拠となる条文から、当社では一部の業務においてテレワークの導入を決定しました。
この決定により、2025年4月1日と2025年10月1日に改正が予定されている育児介護休業法等への対応も可能となり、従業員の労働環境の改善にも繋がると思っております。
テレワークの導入が必要な理由
五島市には、育児介護休業法等の改正以外にもテレワークを導入すべき重要な理由があります。
それは、働き手の不足です。
五島市の人口は2010年が40,622名でしたが、2060年には12,685名となることが推計されています。
これは、50年で約70%も人口が減少するという計算です。
▽五島市
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s007/040/010/040/762_01_03.pdf
人口減少による働き手の不足には待ったなしの状況です。
離島で事業を継続するには、サービスや商品の質を追求するだけでは生き残ることはできません。
社会的な価値を創造し、企業・顧客・従業員・地域などのステークホルダー(stakeholder)に貢献する企業が評価されるようになっています。
当社は、一部の業務においてテレワークを導入するメリットを以下のように捉えております。
1.持続可能な社会の実現
車通勤によるCO2の排出量を削減し、環境負荷の軽減に寄与します。
また、クラウド上で事務作業を行い、書類や資料を迅速に共有してペーパーレスを推進することで、紙の無駄な廃棄も少なくなります。
2.通勤時間の削減
通勤時間を削減することで、時間を効率的に活用する機会が創出されます。
また、通勤時間の削減は従業員の身体的・精神的ストレスの緩和に繋がると捉えています。
3.ワークライフバランスの充実
柔軟な働き方が可能となり、育児・介護と仕事の両立ができるようになります。
従業員の満足度やモチベーションが向上することで、より質の高い仕事ができるようになります。
導入後の運営方針
テレワーク導入後も、利用者の皆様には質の高いサービスを提供致します。
○迅速な対応の実現
(写真)
クラウド上で書類や資料を共有することで、お問い合わせや情報共有のスピードが向上し、お客様の対応が迅速にできるようになります。
○現場と連動したサービスの強化
(写真)
クラウドを活用してback office業務を集中して行うことで、front office業務の時間を捻出でき、お客様満足度の向上に繋がると捉えています。
○災害時の危機管理能力の強化
(写真)
自然災害により、五島市で業務を遂行できなくなった場合、クラウド上の書類や資料を提携先の企業に共有することで、復旧に向けて力を借りることができ、事業を継続することができます。
さいごに
当社では一部の業務においてテレワークの導入を決定しました。
サービス計画書の作成、レセプトの請求などのback office業務は、出社の必要はありません。
当社は、質の高い仕事をするためには従業員のengagementの向上が重要だと捉えています。
育児や介護には、綿密なコミュニケーションが必要です。しかし、それだけでは心が摩耗します。
職場との適度な距離を維持しながら就労することは、精神的安定にも繋がります。
地域の皆様に信頼してご利用いただける企業に成長するために革新的な取り組みを進めます。
当社のサービスにご意見やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
皆様のお役に立てるよう研鑽を重ねてまいります。