
こんにちは。株式会社BooSTです。
今回は「体重が維持できていたらサルコペニアではありませんよね?」について解説を致します。
参考文献
今回は「イチからわかる!サルコペニア Q&A」を参考にさせていただきました。
筆者は筑波大学 山田 実氏です。
リンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。
https://www2.human.tsukuba.ac.jp/faculty_j/yamada-minoru
はじめに
サルコペニアの診断には“握力” “骨格筋量” “歩行速度”の評価が原則となっているため、これらの指標は慎重に評価する必要があります。
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一般的に体重の増加に伴って骨格筋量も増加する傾向にあります。
イメージがしずらいと思うので、例え話を交えて解説します。
100kgの重量物を自分の身体、筋肉をクレーンだとします。

100kgの重量物を移動させるためには、小型クレーンよりも大型クレーンを用意した方がよりスムーズに運搬ができることに疑問を持つ方はいないと思います。
つまり、100kgの体重を移動させるためには、相当する骨格筋量が必要になると言えます。
しかし、高齢者の場合、様々な要因から上記の理論は破綻します。
(写真)
まず、骨格筋の作用について理解しましょう。
①運動の原動力となる
(写真)
筋力は「骨格筋の随意的な収縮によって起こる張力」とされています。
つまり、筋力は、骨格筋が収縮した際の張力の総和であり、筋線維の数と量によって決定します。
一般的に骨格筋量と筋力は比例すると言われる所以です。
しかし、高齢者の場合、様々な要因から骨格筋量が減少し、相対的に筋力も低下する状態を呈します。
②エネルギーを貯蔵する
(写真)
骨格筋はエネルギーを貯蔵する機能があります。
様々な要因により骨格筋量が減少した場合、貯蔵できるエネルギー量が減少するため、動作時の疲労感を惹起する原因となります。
そのため、筋持久力の低下にも繋がります。
高齢者の骨格筋の特性を考慮した評価が重要となります。
では、簡単に骨格筋量を算出することはできないのでしょうか?
今回は、骨格筋量を算出する式をお伝えします。
四肢骨格筋指数とは?
全身の骨格筋量を算出する方法をご存知でしょうか?
全身の骨格筋量は“四肢の骨格筋量の和”を算出することが一般的です。
BIAやDXAでは、四肢ごとの骨格筋量を算出することが可能なので正確に骨格筋量を測定できます。
リハビリテーションの効果を検証することもできるため、定期的に測定して確認することが理想です。
しかし、BIAは装置によって約1割の差が生じる場合があるため、測定条件を統一しておく必要があり、安易に施設や病院との間で比較する際は注意が必要です。
動作の遂行に必要な骨格筋量は身長や体重などの個人差が大きいことを意味しているため、測定条件は統一もしくは補正をする必要があります。
一般的に骨格筋指数(Skeletal Muscle Mass Index:SMI)による補正が有効だと報告されています。
SMIは以下の式によって算出できるので、計算してみてください。
SMI=骨格筋量(kg)/身長2
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主に医療機関でしか測定ができませんが、定期的な受診も兼ねて測定できる病院を選んでください。
おわりに
サルコペニアの診断基準にはである骨格筋量の評価には落とし穴があります。
一般的に体重と骨格筋量は比例関係にありますが、高齢者の場合は先の定義が破綻しています。
つまり、体重が維持できていてもサルコペニアを発症している可能性があることを念頭に入れる必要があります。
また、骨格筋量の減少が認められない場合でも、筋力や筋出力が低下している場合があります。
上記の場合、基本動作能力や転倒の危険性が上昇します。
インターネットの情報を鵜呑みにせず、医療機関を受診して的確な検査と診断を受けることが重要です。
株式会社BooSTは合同会社MYS様と連携して訪問リハビリテーションを提供しています。

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