こんにちは。BooSTの畠山です。
今回は「地域での理学療法士の役割〜介護予防編〜」についてお話しをさせていただきます。
参考文献
今回は「理学療法ジャーナル 2020年3月号 地域における予防の効果」を参考にさせていただきました。
筆者は関西福祉科学大学 保健医療学部 リハビリテーション学科 野村卓生氏です。
リンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。
https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp
はじめに
“理学療法士”と聞いて何をイメージしますか?
私が高校生の頃の理学療法士のイメージは「何する人?」でした。
普通に生活をしていて理学療法士と関わる機会なんて滅多にありません。
なぜなら、理学療法士の勤務先は病院に70.8%、クリニックに10.3%となっており、約8割は医療機関に勤務しているからです。
私が従事している訪問リハビリテーションの分野は3.5%となっています
今回、参考にしたサイトのリンクを記載します。理学療法士を目指している方々には非常に参考になると思います。
https://job-medley.com/tips/detail/876/
予防
前置きが長くなりましたが、今回は地域での理学療法士の介護予防の取り組みについてお話をさせていただきます。
そもそも“予防”とは何でしょうか?
一次予防は「病気の予防」を指します。予防接種が一次予防に当たります。
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1518/
二次予防は「早期発見・早期治療」を指します。健康診断が二次予防に当たります。
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1664/
三次予防は「社会復帰」を指します。リハビリテーションが三次予防に当たります。
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1567/
私は、「理学療法士は三次予防だけしていたらいい」という風潮が嫌いです。
理学療法士こそ一次予防と二次予防に積極的に携わるべきだと思っています。
要介護・要支援に関する統計学
日本の総人口は2023年3月の時点で1億2449万人となっており、1年前と比較すると61万人の減少となっています。
今回は総務省統計局のデータを引用させていただきました。
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html
日本の65歳以上の人口は2015年が3396万人(26.8%)ですが、2055年には3626万人(39.4%)となることが推計されています。
それに伴い、介護保険を利用する方々が増加することは確実です。要介護認定者数は2015年が224万人ですが、2055年には405万人となることが推計されています。40年間で約2倍の増加となっています。
介護保険を利用する方々が増加するということは介護保険料を捻出する必要が出てきます。介護保険料は税金から賄われています。介護保険料は2000年は2911円でしたが、2025年は8165円となっています。25年で約4倍の増加となっています。
今回は厚生労働省のデータを引用させていただきました。
行政が健康に対する様々なインセンティブを課すことで介護保険料を抑制し、健康寿命の延伸に躍起になることは自然な流れです。
実際に長崎県でも令和4年4月から「ながさき健康づくりアプリ」の運営がスタートしました。
五島市でも令和3年4月から「ぎばっと」の運営がスタートしております。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s057/010/010/120/20210311140313.html
健康格差が拡大する未来はすぐ近くまで来ています。
介護保険法
“介護保険制度”と聞いて何をイメージしますか?
私は理学療法士免許を取得した現在でもよくわかっていません。
そのため、ケアマネージャーとして活躍されている方々は感謝と尊敬をしています。
私は最近になってようやく介護保険制度について勉強を始めました。
介護保険法は1997年に制定され、2000年に施行されました。
介護保険制度の基本的な考え方は以下の通りです。
(1)自立支援
介護保険制度は高齢者の自立を支援することを理念としています。
つまり、介護保険制度は介護度の軽減を目的としている制度だということを忘れてはなりません。
(2)社会保険方式
給付と負担の関係が明確な社会保険制度を基盤としています。
(3)利用者本位
利用者の多様なニーズに応えるために医療・福祉サービスを総合的に受けられます。
つまり、心身機能の改善にフォーカスを当てたアプローチだけではなく、本人を取り巻く環境へのアプローチも包括的に取り組む必要があるという意味が込められています。
今回は厚生労働省のデータを引用させていただきました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html
事例紹介
○大阪府柏原市の介護保険事業
大阪府柏原市と関西福祉科学大学は協定を締結しており、柏原市の『地域介護予防活動支援事業」に理学療法士が携わっています。
○メリット
柏原市では地域介護予防活動支援事業の一部を柏原市社会福祉協議会に委託しており、地域介護予防推進員養成講座を開催しています。
“老化度チェック“を実施できるボランティアの育成が講座の中心となっているようです。
ボランティアがサルコペニア、転倒リスク、認知機能を評価できるようになることを前提としています。
サルコペニアの評価には「指輪っかテスト」が採用されています。
https://patients.eisai.jp/kanshikkan-support/exercise/sarcopenia-check.html
転倒リスクの評価には「Functional Reach Test」を採用されています。
認知機能の評価には「老健式活動能力指標」が採用されています。
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/tool_08.pdf
○デメリット
「BooSTも五島市でボランティアの育成に取り組みたい!」
「資金はどこが出してくれているのだろう?」
「え?大学の教員が“無償”で請け負っている?しかも、大学内の施設や備品も“無償“?」
市にとって経費がかからないことはメリットです。しかし、継続性はあるのでしょうか?
おわりに
BooSTは五島市でも同様の取り組みをしたいと考えております。
五島市は2025年に生産年齢人口が44.3%、老年人口が46%となります。人口のピラミッドが逆転するタイムリミットが目前に迫っています。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s007/040/010/040/2-3.pdf
一緒に五島市の未来を変えるための活動をしてくれる仲間を募集していますので、離島の医療・福祉にご興味がある方はご連絡ください。