【医療・介護講座】介護予防とスポーツグループへの参加と効果〜理学療法士の役割とは?〜

【医療・介護講座】介護予防とスポーツグループへの参加と効果〜理学療法士の役割とは?〜

こんにちは。BooSTの畠山です。

今回は「介護予防とスポーツグループへの参加と効果〜理学療法士の役割とは?〜」についてお話しをさせていただきます。

参考文献

今回は「理学療法ジャーナル 2020年3月号 地域における予防の効果」を参考にさせていただきました。

筆者は帝京大学 保健師 金森悟氏です。

リンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。

http://www.med.teikyo-u.ac.jp/~tsph/

はじめに

前回は“スポーツグループへ参加することによる介護予防の効果”にフォーカスを当てた記事を作成しました。

今回は“地域単位でのスポーツグループの参加割合と効果“についてお話をしたいと思います。

地域単位のスポーツグループ参加割合と介護予防

地域単位のスポーツグループ参加割合と介護予防

まず、地域相関研究によるエビデンスをご紹介致します。地域相関研究とは、集団単位(市区町村、都道府県など)で疾病と要因との関連を検討する方法です。

小学校区単位で前期高齢者のスポーツグループの参加割合と、過去1年間の転倒割合との関連を検討した地域相関研究があります。その結果、参加割合が高い小学校区ほど転倒割合は有意に低かったことが報告されています。この関連性は、教育水準や所得を考慮しても有意に低かったことが報告されています。

また、後期高齢者においても、関連は弱くなるが、同様の結果であったことが報告されています。

これらの結果から、地域全体でスポーツグループへの参加を促すことは、集団単位での介護予防に効果的である可能性が高いことが示唆されています。

マルチレベル分析による研究

(1)抑うつ

地域相関研究では、地域単位の指標しか扱うことができません。そのため、個人単位の疾病や変格因子は考慮されません。変格因子とは、疾病と要因の関係に影響を与える因子です。

そこで、マルチレベル分析を活用することにより、より質の高いエビデンスの研究になることが可能となります。マルチレベル分析とは、個人、集団、地域など、異なる母数を対象に調査することで、個人や集団の現象を説明する多様な原因を導き出すのに利用される方法です。

マルチレベル分析により、小学校〜中学校区の地域単位の月1回以上のスポーツグループへの参加割合と、抑うつとの関連を検討した研究があります。また、この研究の特徴として、スポーツグループへの参加の有無も考慮されています。その結果、地域単位のスポーツグループへの参加割合が高い方が抑うつのリスクが有意に低かったことが報告されています。つまり、スポーツグループへの参加割合が高い地域に居住することは、たとえ本人がスポーツグループに参加していない場合でも、抑うつの予防という恩恵を受けられる可能性があることを意味しています。

例えば、地域単位のスポーツグループへの参加割合が10%増えたとします。その地域の高齢者の抑うつの発症リスクが男性で11%、女性で4%低くなる可能性があります。これを年齢で換算すると、男性で15歳、女性で10歳、年齢が若いことと同様であることが示されています。

(2)認知症

さらに、認知症の発症リスクとの関連を検討した研究では、地域単位のスポーツグループ参加割合が10%増えたと仮定すると、その地域の全高齢者で見た認知症リスクが8%低くなる可能性が示唆されています。

(図1)地域のスポーツグループ参加割合と認知症リスク(認知機能低下)との関連(Kanamori Satoru,地域のスポーツグループへの参加と介護予防,理学療法ジャーナルVol.54 No.3 P291より引用)

これは、地域の全高齢者が毎日20分程度歩くことで得られる認知症予防効果と同等であることが示されています。

これらの地域相関研究やマルチレベル分析により、地域単位のスポーツグループ参加割合を高めることで介護予防につながる可能性が示唆されています。では、なぜこのような関連が認められるのでしょうか?

実は、そのメカニズムについては未だに明らかにされておいません。social capitalが豊かな地域は、良好な健康行動により、知人や友人を通して広まったり、”互助”や“自助”ができる風土がストレスの緩和につながることなどが健康への経路として考えられています。

”互助”や“自助”に関しては、以下のリンクにわかりやすく記載されているので、参考にされてください。

https://www.city.itabashi.tokyo.jp/kenko/kourei/care/1016142/1003416.html

理学療法士への期待

最後に左記の知見を踏まえ、将来的に理学療法士に期待されることについてお話しをしたいと思います。

理学療法士は、“回数”・“期間”・“強度”・“頻度”に着目してリハビリテーションの内容を立案します。

リハビリテーションにおいて4つの条件に着目することは非常に重要です。しかし、運動をどのような“場面”で実施するか対象者と一緒に考える時間の方が重要だと思います。対象者の意向や身体状況を考慮した上で、家族や友人とスポーツに取り組む提案することや、近隣で運営されているサロン、スポーツグループ、民間スポーツクラブなどを紹介することも1つの方法であると言えます。まずは、対象者の居住地の状況を把握して、運動や健康増進に関する社会資源にはどのようなものがあるのかを把握することが最優先となります。

また、運動に関する社会資源を紹介するだけでなく、育成や支援も非常に重要です。また、最大の課題でもあります。地域づくりによる介護予防事業として、ボランティアが主体で運営する“通いの場”の創出があります。ここで実施されるプログラムは体操を中心とした運動が含まれているため、理学療法士としてより適切な運動の実施方法をボランティアに教育していく方法もあります。また、保健師や民生委員らと連携し、“通いの場”を地域で立ち上げるところから理学療法士が関わってくるケースも報告されています。

このように、運動を通した繋がりに働きかけていくことが理学療法士として役割を担うことへの期待感が大きい根拠となります。

しかし、理学療法士だけで実践していくには限界があるため、ケアマネージャー、住民、保健師など、多様な関係者と連携していくことは不可欠です。

まとめ

地域全体でスポーツグループへの参加を促すことは、健康増進や介護予防に効果的である可能性が高いことが示唆されています。

また、スポーツグループへの参加割合が高い地域に居住するだけでも、様々な恩恵を受けられる可能性があることを示唆されています。

日本では特に”互助”や“自助”の傾向は強くなり、健康格差が拡大することが予想されています。

時代の潮流に乗り遅れないようにすることが非常に重要であると、改めて実感しました。

「健康への投資をしている」方々の幸福度は高く、充実した時間を過ごしています。一方で、「健康への投資をしていない」方々はベッド上で天井を見て過ごす時間が多く、充実した時間を過ごしているとは言えません。皆さんはどちらの生活を送りたいでしょうか?

BooSTでは、健康に関する様々なお悩みを解決するためにサポートさせていただいております。

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https://boost-ngs.com/inquiry/