【医療・介護講座】サルコペニアとは?〜“筋力低下”と“骨格筋量減少”はマッチしません〜

【医療・介護講座】サルコペニアとは?〜“筋力低下”と“骨格筋量減少”はマッチしません〜

こんにちは。BooSTの畠山です。

今回は「サルコペニアとは?〜“筋力低下”と“骨格筋量減少”はマッチしません〜」についてお話しをさせていただきます。

参考文献

今回は「イチからわかる!サルコペニア Q&A」を参考にさせていただきました。

筆者は筑波大学 山田 実氏です。

リンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。

https://www2.human.tsukuba.ac.jp/faculty_j/yamada-minoru

はじめに

サルコペニアというワードをご存知でしょうか?

1989年にRosenberg博士が提唱して34年が経過しました。

最近は、ケアマネジャーの方からサルコペニアに関するご質問を受けることがあります。

福祉分野にもサルコペニアが徐々に浸透していることは非常に嬉しく思います。

今回は運動器のプロフェッショナルである理学療法士がサルコペニアの基本的な考え方にフォーカスを当てて解説します。

サルコペニアの基本的な概念

サルコペニア(sarcopenia)は、筋肉を意味する“sarx”と、喪失を意味する“penia”からなる造語です。

ヒトは加齢による退行性変化により、骨格筋量が減少し、有害健康転帰(adverse health outcomes)に大きな影響を及ぼします。

有害健康転帰とは、転倒、入院、要介護への移行、死亡など、健康に有害となるイベンが発生することを指します。

当時は、加齢による退行性変化による骨格筋量の減少をサルコペニアと定義していました。

現在では、“筋力低下”と“骨格筋量減少”の両者を合併している状態をサルコペニアとすることが一般的となっています。

左記のように、エビデンスや定義の変遷は時代の流れに沿って変遷することが多々あります。

サルコペニアは病院で治療を受けられる?

2016年にサルコペニアが国際疾病分類 第10版(International Classification of Disease:ICD-10)に傷病登録されたため、現在は疾患として位置付けられています。

理論的には病院で治療やリハビリテーションを受けることが可能です。

しかし、以下の理由から医療機関で積極的な治療を受けることは困難となっています

・受診できる診療科が規定されていないため、明確な治療方針を提示することができない

・生活習慣の改善が基本的な治療方針となる

・病院でリハビリテーションを受ける場合は“運動器不安定症”での算定になる

市役所や地域包括支援センターはサルコペニアへの関心が高いため、生活習慣を改善するためのアドバイスを受けることが可能です。

もちろんBooSTでも、アドバイスやトレーニングのお手伝いが可能です。どしどしご相談ください!

サルコペニアの骨格筋の状態

サルコペニアを発症すると、以下のような状態に陥ります。

・筋間脂肪が増加する

・骨格筋内脂肪が増加する

・骨格筋の筋横断面積が減少する

・皮下脂肪が増加する

“筋力低下”と“骨格筋量減少”は、同じタイミングで発症すると思っている方も多いですが、実際は以下の理由から必ずしも一致しません。

・運動単位(Motor Unit:MU)が減少する

・筋線維のタイプが変化する

・骨格筋内脂肪が増加する

そのため、骨格筋量と筋力にはギャップが生じやすいとされており、注意が必要となります。

サルコペニアの分類

実は、サルコペニアは発症原因により2種類に分類されます。

一次性サルコペニア ▷ 加齢が原因となるもの

二次性サルコペニア ▷ 加齢以外の原因が原因になるもの

しかし、高齢者はⅡ型糖尿病や慢性閉塞性肺疾患など、何らかの慢性疾患を合併している割合が非常に多いのが現状です。

両者を明確に区別することは非常に困難なので、慢性疾患への治療と並行してサルコペニアの治療を行うという考え方が重要となります。

おわりに

今回はサルコペニアにフォーカスを当てて解説しました。

サルコペニアは“筋力低下”と“骨格筋量減少”を合併している状態を指すことが一般的です。

また、サルコペニアは転倒、入院、要介護への移行、死亡などの有害健康転機の発生率が上昇することが知られています。

まずは生活習慣を見直し、健康に投資する意識を持つことが非常に重要です。

BooSTは合同会社MYSと連携して訪問リハビリテーションを提供しています。

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