今回、株式会社e-エクササイズの松浦亜紀子氏からお声かけをいただき、令和5年3月1日(水)に諫早市で開催された「足関節の底背屈および回内外動作を提供する関節可動域訓練装置の試作と評価」という名目の大阪工業大学と広島国際大学の共同研究会に参加してきました。
今回の研究では、お二人の先生が研究を主導して行われました。
・大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学部 ロボット工学科 フレキシブルロボティクス研究室 谷口浩成氏
・広島国際大学 総合リハビリテーション学部 義肢装具学専攻 森永浩介氏
大阪工業大学 谷口浩成氏の紹介
谷口先生の研究室では以下のテーマに沿って研究が行われています。
・筋リラクゼーション運動と関節可動域を提供するマルチリハビリテーションシステムの開発
・空気圧ソフトアクチューターに関する研究
・形状記憶合金人工筋肉アクチューターに関する研究
・ミズクラゲを模倣したアニマルセラピーロボットに関する研究
・ユニバーサルユーザーインターフェースを備えた小児用前腕動力義手の開発
研究内容が高度すぎて、内容はよくわかっていません(笑)
ただ、理学療法士と密接な関係にある研究ということだけはわかります。
理学療法士によるリハビリテーションは未だにアナログな部分が多いので、このような最先端の研究が行われていることに驚きを隠せませんでした。
大阪工業大学のリンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。
広島国際大学 森永浩介氏の紹介
森永先生は以下のテーマに沿って研究が行われています。
・インソールのバイオメカニクスに関する研究
・表在感覚のフィードバックを用いた運動学習の効果
学生の頃、“義肢装具学”という授業でインソールの制作をしたことを思い出しました。私は不器用なので、仕上がりは最悪でした。この経験から義肢装具士の方を尊敬の念を抱いたことは言うまでもありません。
広島国際大学のリンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。
https://www.hirokoku-u.ac.jp/rehabilitation/
研究のテーマ
前置きが長くなりましたが、本題に入ろうと思います。
今回の共同研究のテーマは“拘縮予防”ということを最初にお伝えします。
“拘縮”とは、事故や病気により関節を動かせなくなった際、関節が固まって動かなくなる病態を指します。入院中は理学療法士が関節可動域訓練を行うことで、関節の動きを維持します。
しかし、医療保険でのリハビリテーションは1単位20分という制限があり、その限られた時間を全て関節可動域訓練に費やすことはありません。なぜなら、筋力増強訓練やADL訓練など、理学療法士しかできないことが山積みだからです。
理学療法士の代わりに関節可動域訓練を行ってくれるContinuous Passive Motion(CPM)という装置があります。
CPMの詳細はこちらのリンクをご参照ください。
https://www.gadeliusmedical.com/ja/products/Orthopedic/cpm.html
一見、CPMさえあれば理学療法士による関節可動域なんか必要ないのではないかと疑問に思う方もいらっしゃいます。しかし、部位によって異なりますが、関節は一次元から三次元まで様々な方向に動きます。従来のCPUでは一次元の動きにしか対応しておらず、社会復帰に支障をきたす可能性が残ることが懸念されてきました。
そこで、空気圧をコントロールすることで三次元的に関節可動域訓練を実施できないかと考え、以下の機器が開発されました。
先述した通り、空気圧をコントロールすることで関節の運動を誘導するので、三次元的な動きに対応することが可能となります。
今回の研究が実用化できたら、事故や病気で“拘縮”を発症して社会復帰に支障をきたす方々の未来を変えることができる可能性があるのではないかと期待を膨らませています。
今回の共同研究における私の役割
今回、私は、理学療法士として実験前と実験後の足関節と足部の関節可動域の測定を担当しました。
足関節と足部の関節可動域の測定は1年ぶりです。
最初は緊張もあり、1名に約10分かかってしまいました。不甲斐なさを感じましたが、最後は約3分まで短縮して測定することができました。
合計で24回の測定を終え、クタクタでした。今日はよく眠れそうです!
こちらの写真は私が実際に測定をしている場面です。
感想
今回の研究では、ほとんどの被験者の方々の関節可動域の改善が認められ、反応も良好でした。
私も実際に体験させていただきましたが、三次元的な動きが引き出されているという実感がありました。
翌日も研究は続くので、頑張ってきます!
それでは、また翌日のブログにも体験談を綴りますので、読んでいただくと励みになります。