こんにちは。BooSTの畠山です。
今回は「フレイルとは?〜健康と要介護の中間に位置する存在〜」についてお話しをさせていただきます。
参考文献
今回は「イチからわかる!フレイル・介護予防 Q&A」を参考にさせていただきました。
筆者は筑波大学 山田 実氏です。
リンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。
https://www2.human.tsukuba.ac.jp/faculty_j/yamada-minoru
はじめに
2014年に日本老年医学会がフレイルを提唱して10年が経過しました。
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp
厚生労働省もフレイル予防事業に積極的に取り組んでいます。
https://www.mhlw.go.jp/content/000625526.pdf
しかし、フレイルが一般的なワードになった現在でも、サルコペニアやロコモティブシンドロームとの違いを明確に説明できる方と出会ったことがありません。
今回は運動器のプロフェッショナルである理学療法士がサルコペニアの基本的な考え方にフォーカスを当てて解説します。
フレイルの定義
○日本老年医学会(2014年)
「高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念である」
○厚生労働省研究班
「加齢とともに心身の活力が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」
新生児と比較して高齢者の臓器は長年、日常生活を営んでいることによりダメージが蓄積しています。
このような状態では、いつ病気を発症しても不思議ではなく、有害健康転帰(adverse health outcomes)に大きな影響を及ぼします。
有害健康転帰とは、転倒、入院、要介護への移行、死亡など、健康に有害となるイベンが発生することを指します。
もし、病気を発症してしまうと、健康的な生活を維持することができずに日常生活活動(Activities of Daily Living:ADL)に支障が生じ、介護が必要となります。
フレイルの基本的な概念
フレイルの語源は英語の“frailty”です。日本語では“虚弱”を意味します。
frailtyには可逆的な要素が含まれていることがポイントです。
フレイルは健康と要介護の中間に位置付けられています。
運動・食事・睡眠を改善し、積極的に社会参加をして屋外で活動することで健康的な状態へと改善することが期待できる点が特徴です。
しかし、日本では虚弱や老衰は不可逆的なイメージが定着しており、両者のニュアンスにはズレがありました。
日本老年医学会は両者のニュアンスのズレを解消するために、frailtyの本来の意味を周知することを目的に提唱されました。
フレイルの分類
フレイルは以下に分類されます。
○社会的フレイル
社会から孤立している状態を指します。
令和2年度の国勢調査によると、長崎県は“単独世帯”の数が増加傾向にあります。https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2021/12/1639968722.pdf
単独世帯の方は有害健康転帰の発生率が増加する傾向にあるため、特に注意が必要となります。
○身体的フレイル
加齢による退行性変化で身体機能が低下している状態を指します。
40〜50代では身体機能の低下を自覚する場面は少ないと思いますが、70〜80代では身体機能の低下を自覚する場合が多くなります。
運動習慣を確立することで身体的フレイルの進行を予防することができます。
○精神的フレイル
体調の変化や、定年退職で塞ぎ込んでしまう状態を指します。
様々なライフイベントを乗り越えるために周囲の方々のサポートが必要となります。
これらは相互に関連を与えながら要介護状態に進行することを促進します。
医師・看護師・理学療法士・ケアマネージャーなどの専門職が、密接に連携することで負の連鎖を断ち切ることができます。
おわりに
フレイルは健康と要介護の中間に位置付けられています。
そのため、生活習慣を改善することで有害健康転帰(adverse health outcomes)の発生を防止することができる特徴があります。
フレイルには、社会的フレイル、身体的フレイル、精神的フレイルという多面性があり、相互に影響を与えている点が特徴です。
1つの歯車が狂うと連鎖的に悪化するため、各専門職が適切に介入する環境を創出することが大切です。
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