こんにちは。BooSTの畠山です。
今回は「BIAで算出される位相角って何?〜男性は4.0° 女性は3.5°が基準です〜」についてお話しをさせていただきます。
参考文献
今回は以下を参考に記事を投稿しています。
イチからわかる!サルコペニア Q&A(医歯薬出版株式会社)
筆者は筑波大学 山田 実氏です。
https://www2.human.tsukuba.ac.jp/faculty_j/yamada-minoru
シンプル理学療法学シリーズ 運動療法学テキスト 改定第2版(南江堂)
筆者は埼玉県立大学 教授 細田 多穂氏です。
http://shiraokaseikei.com/publics/index/29/
はじめに
一般的に筋力は筋横断面積に比例します。
つまり、収縮要素である筋線維の測定は、筋力を反映することに繋がるはずです。
腕が太い人と、細い人では、どちらが筋力があるか一目瞭然ですよね。
しかし、高齢者の場合、退行性変化により、細胞外水分比が増加するため、筋横断面積と筋力に相関が認められにくくなくなります。
骨格筋量の測定は、筋線維のみを測定するという方法が理想的です。
しかし、現代での技術では、筋線維のみを測定する技術は開発されていません。
併せて読みたい記事
↓現在の技術でも骨格筋量は正確に測定できない!?〜キーワードは細胞外水分比〜↓
そこで、注目されているのが“位相角”です。
The European Working Group for Sarcopenia in Older People(EWGSOP)でも骨格筋の質の評価として有用になる可能性があることを示唆しています。
今回は運動器のプロフェッショナルである理学療法士が位相角にフォーカスを当てて解説します。
位相角とは?
位相角(phase angle)は、細胞膜で発生する電気抵抗を角度で表したものです。
生体電気インピーダンス法(Bioelectrical Impedance Analysis:BIA)の計測では、細胞膜の電気抵抗をリアクタンス値、細胞内液の抵抗をレジスタンス値として算出できます。
この2種類の電気抵抗により、位相角を算出することが可能です。
正常な細胞であれば、電気抵抗が大きくなり、位相角も大きくなります。
しかし、細胞の生理的な機能が低下すると、電気抵抗も小さくなり、位相角も小さくなります。
サルコペニアとの関連を検討した報告では、男性は4.0°、女性は3.5°が基準となります。
位相角でサルコペニアを判定するメリット
位相角でサルコペニアを算出するメリットは以下の通りです。
○運動やリハビリテーションの効果を反映しやすい
一般的に筋力トレーニングを開始して、筋肥大が得られるまでに約3〜5週間かかると言われています。
そのため、筋力は比較的早期に改善されますが、骨格筋量は改善するまでに時間を要します。
位相角は運動やリハビリテーションによって変化しやすい指標とされているため、効果判定指標としても優秀であると考えられています。
○骨格筋の状態を反映する
先述しましたが、高齢者は退行性変化により、細胞外水分比が増加するため、筋横断面積と筋力に相関が認められなくなります。
位相角は筋力・骨格筋量・骨格筋の質・パフォーマンスと中等度以上の相関を示しています。
そのため、位相角は骨格筋の機能を正確に評価することに繋がります。
○汎用性が高い
BIAによる計測から位相角を算出できることから、非常に汎用性が高いとされています。
また、客観的な評価なので、非常に再現性と信頼性が高いことも注目されているポイントです。
おわりに
位相角(phase angle)は、細胞膜で発生する電気抵抗を角度で表したものです。
男性は4.0°、女性は3.5°が基準となります。
主観的な感覚ですが、一般家庭のBIAの普及率は低いと感じています。
そのため、医療機関などで測定する方が一般的だと思います。
また、データの解析は医師・理学療法士・作業療法士に相談した方が正確だと思いますので、医療機関の受診をオススメします。
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