【医療・介護講座】BIAは誤差が大きいって本当!?〜やっぱり理学療法士に任せた方が安心〜

【医療・介護講座】BIAは誤差が大きいって本当!?〜やっぱり理学療法士に任せた方が安心〜

こんにちは。BooSTの畠山です。

今回は「BIAは誤差が大きいって本当!?〜やっぱり理学療法士に任せた方が安心〜」についてお話しをさせていただきます。

参考文献

今回は「イチからわかる!サルコペニア Q&A」を参考にさせていただきました。

筆者は筑波大学 山田 実氏です。

リンクを記載しますので、詳細を知りたい方はご参照ください。

https://www2.human.tsukuba.ac.jp/faculty_j/yamada-minoru

はじめに

今回も骨格筋量の測定はキーワードとなるので、復習から入ります。

2010年にThe European Working Group for Sarcopenia in Older People(EWGSOP)によりサルコペニアの診断基準が提唱されました。

2014年にAsian Working Group for Sarcopenia(AWGS)によってアジア版のサルコペニアの診断基準が

提唱されました。

サルコペニアの診断には“握力” “骨格筋量” “歩行速度”の評価が原則となっているため、これらの指標は慎重に評価する必要があります。

AWGSによるサルコペニアの診断では生体電気インピーダンス法(Bioelectrical Impedance Analysis:BIA)を使用して骨格筋量を算出することが認められています。

BIAで算出できる“位相角(phase angle)“は、骨格筋機能と中等度以上の相関が認められています。

そのため、位相角は骨格筋機能を正確に評価することに繋がります。

併せて読みたい記事

↓BIAで算出される位相角って何?〜男性は4.0° 女性は3.5°が基準です〜↓

しかし、BIAの測定は各医療機関で誤差が生じることも珍しくありません。

今回は運動器のプロフェッショナルである理学療法士がBIAで誤差が生じる原因にフォーカスを当てて解説します。

BIAで誤差が生じる原因

同一の被検者に対して、2種類のBIAを使用して、骨格筋量を比較した報告があります。

その結果、自動的に算出された骨格筋量は約10%も差があることが判明しました。

では、なぜ誤差が生じるのでしょうか?

○各装置により計算式が異なる

現在、複数の周波数帯域を組み合わせることで、より正確に骨格筋量を計測する技術が進んでいます。

しかし、このような技術も周波数帯域は統一されておらず、各装置で独自の計算式を用いて骨格筋量を算出しています。

そのため、装置間で誤差が生じてしまいます。

○周波数帯域に基準が存在しない

一般的に、骨格筋を算出するためには50kHz帯域の周波数が用いられています。

しかし、骨格筋量を算出するための周波数帯域には国際的な基準が規定されていません。

これがBIAで誤差が生じる主な原因です。

各BIA装置により誤差が生じることは当たり前だと捉えた方がいいでしょう。

誤差が大きい場合は、誤差が生じていることの裏付けです。

そのような場合は、近所のかかりつけ医や、転院先の医療機関に相談することをオススメします。

BIAで誤差を修正する方法

誤差があると、装置間での比較ができないため、退院や転院の際に困ってしまいます。

今回は誤差を修正する方法もお伝えします。

実は、各装置で測定の精度に大差はありません。

各装置に搭載されている計算式が異なることが誤差の原因の1つだからです。

そのため、計算式に代入して骨格筋量を算出することで、装置間の誤差を修正することが可能です。

計算式は以下の通りです。

○Janssenの推定式

骨格筋量(kg)=(身長2/レジスタンス値×0.401)+(男性:1・女性:0×3.825)+(年齢×-0.071)+5.102

○Kyleの推定式

骨格筋量(kg)=-4.211+(0.267)×身長2/レジスタンス値+(0.095×体重)+(1.909×男性:1・女性:0)+(-0.012×年齢)+(0.058×リアクタンス値)

○Yoshidaの推定式

男性:四肢骨格筋量=0.197×身長2/50kHzレジスタンス値)+(0.179×体重)-0.019

女性:四肢骨格筋量=0.221×身長2/50kHzレジスタンス値)+(0.117×体重)-0.881

式を見るだけで嫌になりますね。

やはり医師や理学療法士に相談した方が正確に結果を把握できると思います。

おわりに

BIA装置間で最大で約10%誤差が生じることがありますが、誤差は当たり前だと捉えてください。

急激に骨格筋量が減少したと焦らずに、医師や理学療法士に相談して確認をしてください。

私は、BIAは汎用性が高い測定ツールだと思っています。

2023年3月中にはBIAで骨格筋を定期的に算出して、客観性と再現性が高い訪問リハビリテーションをご提供して参りたいと思っております。

BooSTは合同会社MYSと連携して訪問リハビリテーションを提供しています。

五島市にお住まいの方はこちらのホームページもご覧ください。